隣り合わせの鋼と青春【十三機兵防衛圏】

2019年初夏。
令和の幕開けと共にゲームプレイヤー達は阿鼻叫喚の渦にいた。秋に投入される新作、話題作、大作のラッシュ。時間が足らない、財布が保たない。プレイするゲームを厳選する者、とりあえず積む予定の者、茫然自失になりスマホゲーの周回に逃避する者。
秋はゲーマーの黄昏かそれとも神の篩か。皆が戦々恐々としているところに良質な作品を世に出すメーカーが爆弾を落とした。

「十三機兵防衛圏 11月28日発売」

ヴァニラウェアとアトラスが組んだ話題作である。2015年に発表され、キャラクタービジュアルとゲーム内の背景の美しさから多くの期待が寄せられた。
当初2018年発売とされていたが同年のTGSなどに出展がなく、期待していた人達は困惑し「まさか開発中止?」と憶測も流れた矢先「発売日未定」と変更に。落胆した人も多かっただろう。
散々焦らされたあの十三機兵が発売ラッシュが終わる頃に投入されるのだ。新たなノルマに上がる悲鳴(主に私であるが)。

さて、その時点で発表されていたゲーム内容はほとんどがアドベンチャーパートであり、シミュレーションバトルはちらっと出てきただけだ。
にも関わらず「ロボットシミュレーション」「美麗なグラフィックでのアドベンチャー」と言うキーワードはあったものの、どんなゲームかはよく分かっていなかった。

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おっさんホイホイ、現代版ガンパレ、新たなジュブナイルなど様々な言われ方をしている十三機兵防衛圏。おおざっぱに言えば巨大ロボットシミュレーションバトルの要素があるSFアドベンチャー群像劇。
単なるヒーロー作品のようにロボットで敵と戦い、青春する作品ではない。13人の主人公それぞれのストーリーを追っていき、何故怪獣が現れたのか、世界に隠された秘密を探っていく話だ。そして時系列最終到達点が13人が各々巨大ロボットに搭乗し13の機兵によるターミナルの防衛を行う、所謂「十三機兵防衛圏」なのである。

アドベンチャーパートの時系列などはバラバラで、最初はどうなってるのか把握すら出来ない。
完結したストーリーの漫画単行本を散読している感覚だ。

劇中は会話のやりとりなど目を見張る演出が多い。こういった演出が妙なリアリティを持たせていると思う

 

 

各個別ストーリーは事件の背景やお互いが遭遇する時などは所々リンクしている。二人がリンクすると事件の二つ裏側を見ることにより、やっと真実に近づく感覚になる。だがそれもまた新たな事件などで覆り、真実に近づいているようで振り出しに戻ることも多々ある。「アイツが怪しい、きっとアイツは敵だ」とあえてミスリードさせているのだ。
頑張って考察したことが簡単に無に帰す。人によってはとことん合わないだろう。私のように「とりあえず現状を受け入れて後で考える」受け身タイプのプレイヤーや考察などが大好きな人には面白いと感じると思う。
私が抱いた感想というのは大体こちらのブログに記されているので紹介しておく。

mubou.seesaa.net

SF作品のオマージュがちりばめられているとあるけど、私は何故かかのSF大作「地球へ・・・」を連想しました。昔何かで見たとき幼かったためストーリーは全く理解できていなかった故の「物語の舞台は○○(十三機兵ネタバレ)である」の固定観念が覆った印象的な作品です。ちゃんとストーリーを理解していれば舞台は○○ではなく、目指す場所だとわかるのですが。
あとなっちゃん可愛いよなっちゃんブラチラあるしね。
わかりやすい稔二にわざと意地悪なモーションかける小悪魔ウサミもかわいいけど。
男性陣はなんといっても関ヶ原瑛が好きですね。中二病をくすぐるあのダークヒーローぶり。冬坂が一目惚れして告白する所もよかったし、最後の展開と返事も。ラストの機兵起動シーンは十郎と並んで格好良かったです。
十郎が正統派ヒーローなら彼は影のヒーローと言ったところでしょうか。

 

ところでTwitterで十三機兵防衛圏のファンアートを見ていると巨大ロボットシミュレーションバトルもあるのに意外と女性プレイヤーが多いように感じるんですね。
あの美しく可憐なタッチのキャラクターデザインもあるでしょうが、ジュブナイル物を好む女性が多いという話も聞いたことがあります。
そして何よりカップルの概念。13人の主人公は皆甘酸っぱい青春劇を経て恋人同士になるんです。
一人多い?ああ、奴ですね・・・・奴はまあネタバレになりますんで・・・
さらにカップルには以下の属性が見られます。

  1. 押しかけ世話女房
  2. 影のある男子に一目惚れ
  3. お前は俺が守る
  4. 前世でも恋人だった
  5. 裏切りと偽りの恋
  6. 必ず蘇らせる
  7. 鬱陶しいけど憎めない
  8. 憧れの年上
  9. 幾多の悲劇の果て時空を超えた巡り会い
  10. ボーイズラブ(!)

私乙女ゲーや女性が好むゲームって言うのはあまり詳しくないんですがわりと要素満たしてたりしません?
真実はなんにせよ、この思わぬ効果もまた十三機兵が口コミで広がった大きな要因と言えるかもしれません。

さて、このゲームはストーリーを追うアドベンチャーパートがメインだと思っているのですが、一定条件でロックされたストーリーがアンロックされるものが多くあります。他の主人公のストーリーを進める、シミュレーションバトルで特定ステージに到達するのも条件の一つです。
巨大ロボットシミュレーションバトルというとやはりあの無骨な機兵が描かれると思いがちなのですが、敵も自機も簡易オブジェクトです。PVをよく見ていただくとわかります。
なぜこの様な表示かはわかりませんでした。最初は開発期間がなかったか、発売日未定になった時トラブルがあったかなとも思ったのですが、初期PVからずっと同じ表示なので恐らく最初からこの表示で行く事になっていたのだと思います。そしてその理由は終盤ステージで判明します。
敵が多すぎな上に細かな攻撃エフェクト、あの表示でもめっちゃ処理落ちするんですよ。

難易度はストーリーをメインでやりたいなら断然カジュアル。序盤は爽快感が凄いです。後半、やや厳しくもなりますが装甲無視兵器、インターセプターやガーディアンを効果的に使うなど基本をしっかりしていれば乗り切れますのでやり応えは充分です。特に最終ステージは総力戦でとても熱かったです。ハードではやりたくないですね、アレ・・・。

エピローグは真実の果て、全てのキャラ、それも事件を引き起こした人物、暗躍した人物、全てが愛されていたんだなと思える内容でした。
涙涙とまではいきませんが、とても満足感のあるラストが迎えられることでしょう。(歌が流れたところで泣きそうになりましたが)

最後に、我が愛しのなっちゃんのゲーム紹介PV。まだ買いあぐねている人は是非ご覧ください。

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