新しい物を受け入れられないのは果たして老害なのか【ソウルハッカーズ2】

ソウルハッカーズのタイトルを冠したカウントダウンサイトが注目を集め様々な憶測を呼びました。

私はこの時点で「真・女神転生 デビルサマナー」というシリーズ名がないこと、そして現在のアトラスの親会社はセガ。P5などの広報のやり口からして今回も大きく作品PRに関与していると思っていたため、悪い予感しかしませんでした。というか期待すらしてなかった。

満を持して出てきたのはソウルハッカーズをリスペクトしていないカラフルでポップな何か。

狂喜乱舞する人、ガッカリする人の賛否両論。私は否定的な感想を持ちました。
あくまでも私の観測範囲にしか過ぎませんが肯定的な人はペルソナファンに多く見られ、否定的な人はオーソドックスなメガテンが好きな人に多く見られました。
両方好きな人はやはり否定的な人が多く見受けられました。
やがてこの騒ぎは否定的な見解を示す人に対し「新しい物を受け入れられない老害」言われた方も「何も知らないにわか」等という暴言まで飛び出す事態に。

「え、作品のビジュアルに対しどんな感想を持とうと自由なのでは。」
そう。それが正解です。しかし肯定的な見解を持つ人・・・主にペルソナファンは自分の感性を否定されたことに等しかったのでしょう。そして売り言葉に買い言葉・・・と言うより肯定的な人が「否定するのはおかしい」とばかりに一方的に喧嘩を売ってるようにも見えました。

女神転生シリーズは作品の派生ごとに大きくシステムを変えたりしながら幾度かファン同士で諍いが起きています。真3の大きなシステム変更、ifからのペルソナ確立、ペルソナ3からの独自路線、fesの必要性、P3Pの女主人公の追加、真4の落書きハゲ(閣下の熱心なファンである私は不満を持ちつつプレイしていたがこれで真4を投げた)。

メガテンのファンを自認する人ならわかると思いますが、面倒くさいオタクなんですよね、メガテンのファンって。それぞれに好きなメガテンがあって、共通項目の金子氏のビジュアルに心酔する。排他的で高難易度に挑むのがステータス。

今回否定的な見解を示した人何人かとお話しさせていただきましたが、皆さんオーソドックスなメガテンが一番好きと言う方でした。

オーソドックスなメガテンとは何か。
3Dダンジョンを探索し、悪魔と交渉し、時には脅したり対価を払って仲魔に引き入れ、マッカとマグネタイトを対価に悪魔がPTメンバーとなり戦う。悪魔も得手不得手がありますから悪魔の個性、能力から戦術を考える。ボスまでの移動中は消費magが低い悪魔で編成し、ボス戦ではボスへの相性を考慮した編成にしたり。また派生作品のデビルサマナーでは悪魔の忠誠度が追加され、より悪魔の個性が強くなりプレイヤーに管理ゲーとまで言わしめました。
しかしメガテンは真3で大きく変貌を遂げました。オーソドックスなメガテンが好きなファンにとって最後の希望はデビルサマナーシリーズだけになってしまったのです。
後に真女神転生SJと真4、真4Fが発売されます。オーソドックスなメガテンっぽくもあって評判もよかったのですが、スペックの高い機種で出たペルソナと比べると物足らない。真3の系譜ともとれる。戦闘に参加できる仲間の数、物理攻撃を得意とする主人公と魔法を得意とするヒロインの組み合わせ。これがない。プレスターンバトルに否定的な人もいました。
切望した新作の真5は真3の後継であることが判明、ガッカリ。
最早オーソドックスなメガテンは期待できないのか・・・そう思われていたところにソウルハッカーズのカウントダウンが来たわけです。

次に「真女神転生デビルサマナー ソウルハッカーズ」とはどんなゲームか。
オーソドックスなメガテンの正統進化版と言える作品です。神と悪魔の戦争やロウ、カオス、ニュートラルのストーリーは失われました。ジュブナイル色が強く近代社会のダークサイドが舞台で数キャラクターがアニメ調、難易度も低く「初心者向けメガテン」とまで言われた作品で、この世界観はペルソナにも影響を与えることになります。
このシリーズには数名のサマナーが出てきますが基本的に悪魔を従えつつも一匹狼です(パートナーがいたり雇われて組むことはある)。

何故ファンは落胆したのか。
お話しした通り、オーソドックスなメガテンが好きなファンは「真・女神転生デビルサマナー ソウルハッカーズ」が思いの拠り所で3DSのリメイクにも好意的でした。
そのソウルハッカーズのタイトルを冠したカウントダウンサイトが話題になれば、期待するなと言う方が無理です。
タイトルを冠したカウントダウンサイトは誰に向けての物なのか、これをよく考えましょう。間違いなく前作のファンです。
そして出てきたのは、カラフルでオシャレで幻影異聞禄っぽくペルソナっぽい何か。PVのバトルシーンもペルソナよろしく、サマナーのチームバトル。
私がお話しさせていただいたファンの言葉を借りれば、悪魔の扱いがペルソナのように装備になっている。
かつてのソウルハッカーズを期待していたなら、間違いなく思うでしょう。これじゃない!と。否定的な見解を示すのも仕方ないのです。
それを批判されれば「何も知らねえニワカが」と言いたくもなるでしょう。

ではどこが問題だったのか?
メガテンは幾度となくシステムなどを変更して、時には全く別の物に生まれ変わってその度にファンは諍いを起こしてきました。今回もその流れなのでしょう。
おそらくは幻影異聞禄の根強いファンを引き込むための作品でしょう。
消えゆくメガテンのファンがこれで増えるからいいじゃないかという人もいましたがソウルハッカーズ2で増えるファンはメガテンファンでは無いと思います。

時代と共に作品が生まれ変わり、変貌を遂げるのはまた仕方ないのでしょう。しかし過去数々の変更を経てファンが大荒れするのはアトラスのスタッフもわかっていたはずです。固有名詞などを引き継いだとしてもそれはファン共通のリスペクトにはなり得ない。
カウントダウンサイトなどといったもったいぶった演出ではなく「ソウルハッカーズが生まれ変わります」等と打てばそれなりに納得したファンはいただろうなと思います。(ペルソナが嫌いな人は絶対怒るでしょうが)
これは単純に広報担当のリサーチ、マーケティング不足であり「俺たちはこんなすごい物を出すんだ」という傲慢さが感じ取れます。
過去に同様のことをやっていますよね、アトラスセガ。
また老害認定している人達に感じるのも同じく一人歩きした言葉に乗っかって批判する傲慢さです。背景を理解せず知ろうともせず新しい物に乗っかるのは絶対的な正義か?絶対的な正義であれば無条件に他人を貶めるのは許されるのか?違うでしょう。
この辺は散々P5の無責任な大衆の言動で学んだと思っていたのですが、残念なことです。

私の観測範囲での物言いで申し訳ないのですが、ソウルハッカーズ2に否定的な人は肯定的な人を批判していません。あくまで自分の気持ちを述べているにしか過ぎず、それを批判、貶めたり、時には茶化すってのはファン以前に人としてどうかと思いますね。